REC-DOM-Level-1-19981001


付録 B: 用語集

編集者
Robert S. Sutor, IBM Research

以下の用語の定義のうちいくつかは、他のW3C文書や規格文書における類似の定義から借用されたり修正されているものである。踏み込んだ情報については、定義の中のリンクを見ること。

祖先 (ancestor)
ノードAの祖先ノードとは、文書の樹モデルにおいてAの上にあるノードである。ここで「上に」とは「ルートの方に」という意味である。
API (API:application programming interface)
APIとは、アプリケーションプログラミングインターフェイス、すなわちある機能にアクセスするために使われる関数およびメソッドのセットである。
子 (child)
とは、あるノードの直近の子孫である。
クライアントアプリケーション (client application)
[クライアント]アプリケーションとは、有益な仕事を達成するためにホスティング実装によって提供されるDOMプログラミングインターフェイスを使うソフトウェアである。クライアントアプリケーションの例としては、HTML文書およびXML文書の内部のスクリプトがある。
COM (COM:Component Object Model)
COMとは、Microsoft のコンポーネントオブジェクトモデルである。これは、バイナリソフトウェアコンポーネントからアプリケーションを構築するための技術である。
内容モデル (content model)
内容モデルとは、許容される子要素の型や出現順序を支配する単純な文法である。[XML] を見ること。
文脈 (context)
文脈は、アクセスパターン(またはパス)を指定する。モデルと相互作用する方法を与えるインターフェイスのセットである。たとえば、データノードに接続している異なる色つきの円弧をもつモデルを想像してみよ。文脈は、モデルの上にかぶせられ、モデルの全体的な情報について部分的に視野を与える色つきのアセテートのシートということになろう。
簡便性 (convenience)
簡便メソッドとは、オブジェクト上のより基本的な操作からなるプログラムにより達成できる、オブジェクト上の操作である。簡便メソッドはたいてい、APIをより単純で使いやすくし、あるいは特定のプログラムがよくある操作のためにより最適化された実装を作り出せるようにするために提供される。同様の定義は簡便プロパティにも当てはまる。
調理済みモデル (cooked model)
何らかの方法で操作された後の文書を表現する文書のモデル。たとえば、以下の変形のどれかを任意に組み合わせても、調理済みモデルが作られることになる。
  1. 内部テキストエンティティの展開.
  2. 外部エンティティの展開.
  3. スタイル指定された生成テキストのモデル増加分.
  4. スタイル指定された並べかえの実行.
  5. スクリプトの実行.
エディタは調理済みモデルまたは文書の初期的構造モデル(未調理モデルとしても知られる)へのアクセスを提供する場合があるが、ブラウザは調理済みモデルへのアクセスしか提供できなくてもかまわない。
CORBA (CORBA:Common Object Request Broker)
CORBAとは、OMG 生まれの一般的オブジェクト要求周旋アーキテクチャである。このアーキテクチャは、配信される環境の中で要求や応答を作出したり受領するオブジェクトを含んだアプリケーションの作成を可能にするオブジェクトやライブラリの集合体である。
カーソル (cursor)
カーソルとは、ノードのオブジェクト表現である。文脈や、ノードに至るためにたどるパスについての情報を処理する場合がある。
データモデル (data model)
データモデルとは、データ構造やそれが内包するフィールドの記述を、それを操作する操作や関数と一緒にしたものの集合体である。
廃止予定 (deprecation)
新盤の仕様書がリリースされるとき、いくつかの古い機能は廃止予定であると印されることがある。これは、新しいネットワークはその機能を使うべきではなく、それが現行のリリースではサポートされてるけれども将来のリリースではサポートされなかったり利用可能でなかったりする場合があるという意味である。
子孫 (descendant)
ノードAの子孫ノードとは、文書の樹モデルにおいてAの下にあるノードである。ここで「上に」とは「ルートの方に」という意味である。
ECMAScript
ECMA-262 規格により定義されたプログラミング言語。規格の中で述べられているように、ECMAScript の元となった技術は JavaScript である。ECMAScript バインディングにおいては「プロパティ」という語はIDL用語の「属性」と同じ意味で使われることに注意すること。
要素 (element)
文書はそれぞれ、1つまたはそれ以上の要素を内包する。この要素の境界は、開始タグと終了タグとで区切られるか、空要素については空要素タグにより区切られるかのいずれかである。要素はそれぞれ型をもち、これは名前で識別される。また、1セットの属性をもつ場合がある。属性はそれぞれ、1つの名前と1つの値とをもつ。[XML]
イベント増殖 (event propagation / event bubbling)
これは、イベントが、オブジェクトや、1セットの関連するオブジェクトに影響を及ぼしうるという考えである。潜在的に影響を受けるオブジェクトのどれもが、イベントをブロックし、違ったものを代わりに使うことができる(上方イベント増殖)。イベントは、それが生成されたノードから各親ノードへとブロードキャストされる。
等価性 (equivalence)
2つのノードが等価であるのは、それらが同じノード型とノード名ともつ場合である。また、ノードがデータを含んでいれば、それは同じでなければならない。最後に、ノードが属性をもっていれば、属性名の集合体が同じであり、名前によって対応させられる属性はノードとして等価でなければならない。2つのノードが深部まで等価であるのは、それらが等価であり、子ノードリストが NodeList オブジェクトとして等価である場合であり、実際には等価な属性の対が深部まで等価でなければならない。2つの NodeList オブジェクトが等価であるのは、それらが同じ長さをもち、インデックスによって対応させられるノードが深部まで等価である場合である。2つの NamedNodeMap オブジェクトが等価であるのは、それらが同じ長さをもち、同じ名前の集合体をもち、マップ内にある名前によって対応させられるノードが深部まで等価である場合である。2つの DocumentType ノードが等価であるのは、それらがノードとして等価であり、同じ名前をもち、NamedNodeMap オブジェクトと同様に等価なエンティティおよび属性をもつ場合である。
ホスティング実装 (hosting implementation)
[ホスティング]実装とは、クライアントアプリケーションがDOMインターフェイスを使えるようにその実装を提供するソフトウェアモジュールである。ホスティング実装の例としては、ブラウザやエディタ、文書レポジトリがある。
HTML (HTML:the HyperText Markup Language)
ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)は、プラットフォーム間で可搬的なハイパーテキスト文書を作成するために使われる単純なマークアップ言語である。HTML文書は、広範囲のアプリケーションからの情報を表示するのに適した通有的な意味論を有するSGML文書である。[HTML 3.2] [HTML4.0]
IDL (IDL:Interface Definition Language)
インターフェイス定義言語(IDL)は、オブジェクト上でアクセスや操作をするためのインターフェイスを定義するために使われる。IDLの例としては、 Object Management Group の IDLMicrosoft の IDL、Sun の Java IDL がある。
実装者 (implementor)
自分の製品のためのAPIとしてDOMをサポートしていると主張する企業や組織、個人。
継承 (inheritance)
オブジェクト指向プログラミングにおいて、他のクラス(またはインターフェイス)のすべてのメソッドおよびプロパティ、加えて追加的なメソッドやプロパティを内包した新しいクラス(またはインターフェイス)を作成する能力。クラス(またはインターフェイス)Dがクラス(またはインターフェイス)Bから継承をした場合、DはBから派生したと言われる。BはDにとってのベースクラス(またはインターフェイス)と言われる。プログラミング言語の中には多重継承、すなわち2つ以上のクラスまたはインターフェイスからの継承を認めるものがある。
初期的構造モデル (initial structure model)
なまの構造モデル未調理モデルとしても知られるものであり、エンティティ展開やテキストの生成、スタイル指定された並べかえ、スクリプトの実行により修正される前の文書を表現する。いくつかの実装では、これは、それが存在する場合には、文書の「初期的解析樹」に対応することになろう。エディタならば可能であろうが、与えられた実装が文書の初期的構造モデルへのアクセスを提供できないこともあることに注意すること。
インターフェイス (interface)
インターフェイスとは、それらの実装について与えられた情報を全くもたないメソッドのセットの定義である。インターフェイスおよび継承をサポートするオブジェクトシステムにおいては、インターフェイスはたいてい互いに継承できる。
言語バインディング (language binding)
IDL仕様書のプログラミング言語バインディングとは、与えられた言語の仕様書におけるインターフェイスの実装である。たとえばDOM IDL仕様書の Java 言語バインディングであれば、インターフェイスによって露出される機能を提供する具体的な Java クラスを実装することになる。
メソッド (method)
メソッドとは、あるオブジェクトに結びつけられた操作または関数であり、そのオブジェクトのデータを操作することを許されている。
モデル (model)
モデルとは、手元の情報についての実際のデータ表現である。例としては、文書に結びつけられた解析構造やスタイル情報を表わす構造的モデルやスタイルモデルがある。モデルは樹であっても方向を示されたグラフであっても、あるいはその他のものであってもよい。
オブジェクトモデル (object model)
オブジェクトモデルとは、クラスやインターフェイスに、そのメンバーデータ、メンバー関数、クラススタティック操作を一緒にしたものの記述の集合体である。
親 (parent)
とは、あるノードの直近の祖先ノードである。
ルートノード (root node)
ルートノードとは、他のどのノードの子でもない唯一的なノードである。他のすべてのノードはルートノードの子またはその他の子孫である。[XML]
兄弟 (sibling)
2つのノードが兄弟であるのは、それらが同じ親ノードをもっている場合である。
文字列比較 (string comparison)
文字列照合が要求されるとき、それは、あたかもUnicode 2.0 規格によるコードポイントの列2つの間の比較であるかのように起こることとなる。
タグ妥当な文書 (tag valid document)
文書がタグ妥当であるのは、すべての開始タグと終了タグとが適切に釣り合わされてネストされている場合である。
型妥当な文書 (type valid document)
文書が型妥当であるのは、それが明示のDTDに適合している場合である。
未調理モデル (uncooked model)
初期的構造モデルを見ること。
整形式文書 (well-formed document)
文書が整形式であるのは、それがタグ妥当であり、エンティティが単一の要素(すなわち単一のサブツリー)に制限される場合である。
XML (XML:Extensible Markup Language)
拡張可能マークアップ言語(XML)とは、この文書において完全に記述されているSGMLの非常に単純な方言である。その目的は、現在HTMLで可能である方法を用いて、一般性を有するSGMLをウェブ上で配信し、受信し、処理できるようにすることである。XMLは、実装の容易性と、SGMLとHTMLとの両者との相互運用性とを狙って設計されている。[XML]


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